屋根瓦にしみる赤い色は? 赤絵町 皿山なぜなぜ41

赤絵の技法 PHOTO
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 有田焼は、硬くて白い器に、藍色や赤や黄や緑の鮮やかな色がほどこされています。これらの絵具が、二階の作業場から捨てられ、瓦にしみついて赤く残っているのです。赤以外の絵具も捨てられたと思いますが、赤い色が一番よく残っています。赤絵町では、一九八九年(平成1年2月、重要無形文化財保持者に指定された今泉今右衛門家の屋根に少し残っています。屋根ばかりでなく、窓の下の石垣にしみついているところもあります。それらのしみを見れば、そこに絵描き座があったことがわかります。
 絵描き座というのは、陶磁器に絵付けをする人々が座わっている作業場のことです。明るい窓際に外側を向いて座ります。昔から男性が線描きを担当し、女性はその細い線描きの内側を丁寧に塗りつぶしました。これを濃といいます。
藍色の文様は、本焼きという高い温度で焼成する前に描きます。陶磁器の表面をおおうガラスの層の下に絵付けされていますので、下絵付けともいいます。赤い色や黄色、緑色、金色などは、高い温度ではよく色が出ないので、本焼きのあと、ガラス面の上にのせて低い温度で焼きつけます。これを上絵付けといいます。赤色が主体となるので赤絵付けともいいます。絵具の作り方は、江戸時代は、その家の跡継ぎだけに伝えられ、技術が守られてきました。
 赤色は、鉄の色です。紅柄という鉄の粉のようなものを、よくすりつぶして用います。
緑色は銅のさびた緑青から作ります。これらの粉末を、八百度ぐらいでとける透明のガラス粉に混ぜると、赤や緑の絵具ができます。黄色は紅柄の量を少なくして薄茶色がかった黄色を作ります。また絵具は、乳鉢で何日もすり続けなければいい色が出ませんでした。今日では機械を使います。照明も電灯があるので、窓際に並ばなくても絵付けができますが、屋根の赤い色は、そういうもののない時代を、なつかしく思い起こさせてくれます。
(鈴田由紀夫)

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